LANハブ(LAN hub)は、社内ネットワークや家庭内ネットワークにおいて、複数の端末を有線で接続するための重要な中継装置です。
近年では「スイッチングハブ」が主流ですが、「リピータハブ」や「アクセスポイント」との違いを正しく理解しておくことは、ネットワークの設計・運用の効率化につながります。
本記事では、LANハブの基本から応用、スイッチとの違い、Wi-Fiとの関係まで、ITエンジニアの視点で詳しく解説します。
LANハブの基本知識
LANハブとは?
LANハブは、イーサネット(Ethernet)に基づくネットワークで、複数の機器(PC、サーバ、プリンタなど)をUTPケーブルや光ファイバーで相互接続するための集線装置(ハブ)です。
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一般的にはRJ45コネクタに対応した銅線用ポート(UTP)を複数搭載
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一部は光ファイバーポートを備え、高速・長距離通信にも対応
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ハブの役割は、**受信した信号を他の機器へ中継(ブロードキャスト)**すること
リピータハブとスイッチングハブの違い
現在市場に出回っているLANハブのほとんどは「スイッチングハブ」です。
混同を避けるため、「ネットワークスイッチ」「イーサネットスイッチ」「L2スイッチ」と呼ばれることが増えています。
LANハブの種類と対応規格
通信速度と対応規格
LANハブは接続する機器や回線の規格に応じて通信速度が異なります。
ほとんどのハブはオートネゴシエーション機能を持ち、通信相手の速度に応じて自動切り替えされます。
有線と無線の中継装置の違い
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有線LANでは「ハブ」や「スイッチ」が中継装置
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無線LAN(Wi-Fi)では同様の役割を「アクセスポイント(AP)」が果たします
最近では、複数の有線ポートを備えたAPが登場しており、「ハブ+無線AP」としてハイブリッド運用も可能です。
LANハブの活用シーンと導入時のポイント
一般家庭での使用例
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複数のPC・ゲーム機・テレビを1本のLANケーブルでルーターに接続
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無線よりも低遅延・高安定性を求めるユーザーにおすすめ
オフィスや教育機関での使用例
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数十〜数百台の端末をセグメントごとにLANハブで分割
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階層構造によりネットワーク負荷を分散可能
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VLAN機能付きスイッチを導入すれば、セキュリティやネットワーク分離も実現可能
ハブ選定のポイント
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ポート数:現状+将来的な増設も考慮(例:8ポート、16ポート)
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通信速度:Gigabit Ethernet以上が推奨
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PoE対応:無線APやIPカメラの給電にも便利
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管理機能:SNMP、VLAN、QoSなどの有無(管理型 or 非管理型)
スイッチングハブとアクセスポイントの融合
近年は、家庭用Wi-Fiルーターや法人向けAPに、有線LANポートが複数搭載されているものも多く、ハブとしての機能も内包しています。
このような機器は、以下のような特徴を持ちます:
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LANポート(例:4ポート)を介して複数機器を有線接続
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Wi-Fi経由のデバイスと有線デバイスが相互通信可能
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LANポートごとに速度やVLANを設定できる高機能モデルも存在
まとめ
LANハブは、ネットワーク構築の基礎を担う重要な装置であり、現在ではスイッチングハブが標準的な選択肢となっています。
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LANハブ=ネットワーク機器の信号の集線装置
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現代ではビッグデータやストリーミングにも耐えるギガビット対応が基本
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用途に応じてリピータハブ/スイッチングハブ/アクセスポイント付きハブを選定
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正しい知識と選び方が、快適かつ安定したネットワーク環境構築に直結
ネットワーク管理や構築を行うすべてのITエンジニアにとって、LANハブの理解は不可欠です。
これを機に、自分のネットワーク環境を見直してみてはいかがでしょうか?