ソフトウェア開発において、プログラムの規模や開発の進捗を測る指標として広く利用されているのが「LOC(Lines of Code)」です。
LOCは、プログラムのコード行数を示す単位であり、その値は開発者の業績評価やプロジェクトの規模見積もりにおいて重要な役割を果たします。
この記事では、LOCの基本的な概念から、物理LOCと論理LOCの違い、またLOCを評価指標として使う際の注意点について詳しく解説します。
LOC(Lines of Code)の基本概念
LOCとは?
LOC(Lines of Code)とは、プログラムのソースコードの「行数」を指し、ソフトウェアの規模を測るために使われる指標の一つです。
一般的には、コードに含まれる改行文字を数えることで、プログラムが何行で構成されているかを計測します。
- 物理LOC(Physical LOC): プログラムに実際に記述された行数を数えたもの。空行やコメント、無意味な括弧だけの行は含まれます。
- 論理LOC(Logical LOC): 実際にプログラムが動作するために必要なコード行数をカウントしたもの。空行やコメント行は除外され、実際にコードとして意味のある行のみがカウントされます。
LOCの単位
LOCの単位として、以下のような補助単位も使われることがあります。
- KLOC(Kilo LOC): 1000行のコードを表す単位。
- MLOC(Mega LOC): 100万行のコードを表す単位。
これらは特に大規模なソフトウェア開発において、コード量を簡潔に表現するために使われます。
LOCの計測方法とその変動要因
LOCの計測方法
LOCを計測する際には、ソースコードを行単位でカウントします。
ただし、コードの表示環境によって改行の処理が異なるため、表示される行数が実際の行数と異なる場合があります。
プログラムの表示環境に依存せず、改行コードを基準に正確に行数を数えることが重要です。
LOCの変動要因
LOCはプログラミング言語によっても大きく異なります。
同じ処理を行うプログラムでも、異なる言語を使用すると必要なコード行数が大きく異なることがあります。
また、同じ処理を実装する際でも、開発者の熟練度や使用するライブラリ、アルゴリズムの選択によってもコード行数が変動します。
経験豊富な開発者は、よりコンパクトで効率的なコードを書く傾向がありますが、未熟な開発者は冗長なコードを書くことが多く、LOCが増える傾向にあります。
LOCを評価指標として使用する際の問題点
LOC法とその課題
LOCをソフトウェア開発の評価指標として使用する手法を「LOC法」と呼びます。
LOC法では、コード行数を基に開発規模や開発者の業績を評価することができますが、いくつかの問題点も存在します。
- 冗長なコードの増加
開発者がLOCを多く見積もることを目的に、冗長なコードを書きがちです。これは、可読性や保守性の低下を招き、結果的にソフトウェアの品質が低下する原因となります。 - 短いコードのデメリット
一方で、極端に短いコードを目指すあまり、特殊な記法や非標準的なテクニックを使用する開発者もいます。これにより、コードの可読性や保守性が低下し、長期的にはソフトウェアの拡張や修正が困難になる場合があります。
より正確な評価法
これらの問題を避けるため、ファンクションポイント法など、LOC以外の評価方法も導入されています。
ファンクションポイント法は、ソフトウェアの機能的な規模を基にした評価手法であり、LOC法に比べてコードの記述方法に影響されにくく、より正確な評価が可能です。
しかし、これらの手法はLOC法に比べて計測や見積もりに時間と手間がかかるため、依然としてLOCは簡易な尺度として広く使われています。
まとめ:
LOC(Lines of Code)は、ソフトウェア開発における規模や進捗を測るための重要な指標です。
物理LOCと論理LOCの違いや、LOCの計測方法、さらにLOC法による評価における問題点について理解することが、ソフトウェア開発において非常に重要です。
開発者やプロジェクトマネージャーは、LOCだけに依存せず、他の指標と併用することで、より正確な進捗管理や品質評価が可能になります。