RARP(Reverse Address Resolution Protocol)は、IPネットワークにおいて、MACアドレスから対応するIPアドレスを求めるために使用されるプロトコルです。
本記事では、RARPの基本概念、その機能や用途、さらには後継プロトコルであるBOOTPやDHCPについて詳しく解説します。
特に、RARPがどのようにネットワーク機器の自動設定に寄与しているのかを探ります。
RARPの基本概念
1. RARPとは?
RARPは、ネットワークに接続された機器が自らのMACアドレスをブロードキャストし、そのMACアドレスに対応するIPアドレスをネットワーク上のサーバやルータに問い合わせるためのプロトコルです。
このプロセスにより、新しく接続された機器が自動的にIPアドレスを取得し、通信を開始できるようになります。
2. RARPの仕組み
RARPを使用する際、機器は自分のMACアドレスをネットワーク上にブロードキャストします。
すると、同じネットワークにあるルータやサーバがそのMACアドレスに基づいて適切なIPアドレスを決定し、通知します。
このプロセスを通じて、機器は自らのIPアドレスを設定し、以降の通信に利用します。
RARPの歴史と進化
1. RARPの標準化
RARPは1984年にRFC 903として規格化され、主にネットワーク機器の自動設定機能に用いられてきました。
しかし、RARPは取得できる情報がIPアドレスのみであり、実装が困難であったため、次第に他のプロトコルに取って代わられました。
2. BOOTPおよびDHCPの登場
RARPの限界を克服するために、BOOTP(Bootstrap Protocol)やDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)が開発されました。
これらのプロトコルは、IPアドレスだけでなく、ネットワーク設定に関するより多くの情報を提供し、自動設定機能を大幅に向上させました。
RARPの代替プロトコル
1. InARP(インバースARP)
RARPの機能を補完するプロトコルとして、InARP(Inverse ARP)が存在します。
InARPは、物理層やリンク層にATM(非同期転送モード)やフレームリレーを利用するIPネットワークにおいて、物理アドレスからIPアドレスを取得するために使用されます。
InARPは、イーサネットとは異なるアドレス付けの仕組みを採用しており、より柔軟なネットワーク構成を可能にします。
2. InARPの利用シーン
InARPは、データリンク接続識別子(DLCI)を用いて物理アドレスからIPアドレスを求める際に非常に有用です。
特に、フレームが交換機を通過する際にアドレス情報が書き換えられるため、RARPよりも高度な機能を提供します。
まとめ
RARPは、ネットワーク機器が自動的にIPアドレスを取得するための重要なプロトコルですが、技術の進歩と共にBOOTPやDHCPといった新しいプロトコルに取って代わられています。
しかし、RARPの基本的なアイデアは、ネットワーク機器の自動設定において依然として重要な役割を果たしています。
InARPなどの代替プロトコルも含め、現代のネットワーク構成を理解する上でRARPの知識は欠かせません。