RDIMM(Registered DIMM)は、高性能サーバやワークステーションなど、大量のメモリ容量が求められる環境で使われる特殊なメモリモジュールです。
一般的なPCで使用されるUDIMM(Unbuffered DIMM)とは構造や目的が異なり、信号処理の安定性や拡張性の向上に貢献します。
本記事では、RDIMMの構造、動作の仕組み、用途、UDIMMとの違いまでを、ITの専門的な視点からわかりやすく解説します。
RDIMMとは?
RDIMMの基本構造
RDIMM(Registered DIMM)とは、メモリモジュール内にレジスタ回路(信号バッファ回路)を内蔵したDIMM(Dual Inline Memory Module)の一種です。
このレジスタ回路は、マザーボードのメモリコントローラから送られてくるコマンド信号やアドレス信号を一旦受け取り、整流・増幅した上でメモリチップへ再送信する役割を担います。
信号中継による負荷分散
RDIMMでは、各メモリチップに直接信号を送らず、モジュール単位で信号を中継するため、メモリコントローラの負担が軽減されます。
これにより:
-
搭載できるメモリモジュール数が増加
-
信号品質の向上
-
大規模システムでの安定性向上
といった利点があります。
RDIMMのメリットとデメリット
RDIMMのメリット
1. 拡張性が高い
大量のメモリスロットを備えたサーバ環境では、RDIMMを使うことでメモリ容量を大幅に拡張できます。
2. 信号の安定性が高い
複数のモジュールを使用しても電気信号の品質が低下しにくいため、システムの信頼性が高まります。
3. ECC機能との併用が可能
多くのRDIMMはECC(Error Correcting Code)機能にも対応しており、メモリエラーの検出・修正が可能です。
これはミッションクリティカルなシステムでは特に重要です。
RDIMMのデメリット
1. アクセス速度の若干の低下
信号がレジスタ回路を経由するため、レイテンシ(遅延)が発生します。
結果として、UDIMMと比べてわずかに動作速度が遅くなる傾向があります。
2. コストが高い
構造が複雑で部品点数も多いため、価格はUDIMMよりも高価です。
RDIMMが使用される代表的な場面
サーバおよびエンタープライズシステム
-
データセンター
-
クラウドサービス基盤
-
高可用性が求められる金融システム
ワークステーションや科学技術計算
-
AI/機械学習のモデル学習時のメモリ大量使用
-
3Dグラフィックス処理やシミュレーション
例: 大規模なデータベース(例:Oracle、SQL Server)の運用環境では、安定性と拡張性が最優先されるためRDIMMが選ばれることが多いです。
導入時の注意点
RDIMMとUDIMMは混在不可
基本的に、同一のシステムでRDIMMとUDIMMを同時に使用することはできません。
BIOSが起動しない、あるいは不安定な挙動を示す可能性があります。
マザーボードの対応状況を確認
すべてのマザーボードがRDIMMに対応しているわけではありません。
サーバ用マザーボードか、RDIMM対応が明記されている製品を選びましょう。
まとめ
-
RDIMM(Registered DIMM)は、信号の中継回路を内蔵したサーバ向けの高性能メモリモジュール。
-
コントローラ負荷を軽減し、拡張性と信頼性を確保できる点が大きなメリット。
-
一方で、アクセス速度の低下や価格の高さには注意が必要。
-
UDIMMとの違いを理解した上で、使用環境に適したモジュール選定が重要です。
大量メモリを扱うITインフラ設計では、RDIMMの知識は必須。
安定性と拡張性が求められる場面では、積極的に導入を検討しましょう。