本記事では、RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances)について詳しく解説します。
この指令は、EU(欧州連合)が定めた重要な環境規制であり、電気製品に使用される有害物質の制限を目的としています。
RoHS指令の背景やその内容、及び企業が遵守すべき要件について理解を深めることで、製品開発や販売における環境配慮の重要性を再認識しましょう。
RoHS指令の概要
1. RoHS指令とは?
RoHS指令は、2006年に施行されたEUの環境規制で、電気・電子機器に使用される特定の有害物質を制限するものです。
初回の規制(現在ではRoHS1と呼ばれています)は、主に以下の6つの物質を対象にしています:
- 鉛
- 水銀
- カドミウム
- 六価クロム
- ポリ臭化ビフェニル(PBB)
- ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)
これらの物質は、製品中の濃度が1000ppm(カドミウムのみ100ppm)以下でなければならず、対象は家庭用電気製品、情報機器、照明機器、電動工具、医療機器など10種類の製品カテゴリーに分類されています。
2. 改正RoHS2の導入
2011年にはRoHS2が施行され、RoHS1に新たに以下のフタル酸エステルが追加されました:
- フタル酸ジ-2-エチルへキシル(DEHP)
- フタル酸ブチルベンジル(BBP)
- フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)
- フタル酸ジイソブチル(DIBP)
改正RoHS2では、規制対象が交流1000V以下、直流1500V以下のすべての電気機器に拡大されました。
これにより、軍事用や宇宙用、大型産業機器を除くほぼ全ての民生用電気製品が規制対象となります。
RoHS指令の企業への影響
1. 企業の責任
RoHS1では生産者の義務のみが規定されていましたが、RoHS2からは輸入者や販売者など、流通に関与するすべての事業者にも一定の責任が課されるようになりました。
これにより、サプライチェーン全体での規制遵守が求められています。
2. CEマーキングの重要性
RoHS指令を遵守することで、製品がEUの規制に適合していることを示す「CEマーキング」を取得することができます。
CEマーキングは、EU市場において製品を流通させるために不可欠な要素であり、企業にとっては信頼性の向上にも繋がります。
まとめ
RoHS指令は、環境保護と人々の健康を守るために重要な役割を果たしています。
企業はこの指令を遵守することで、持続可能な開発に貢献し、顧客からの信頼を得ることができます。
今後も環境規制が厳格化される中で、RoHS指令に関する理解を深め、適切な対応を取ることが求められます。