ウェブセキュリティにおいて、**SOP(Same-Origin Policy)**は非常に重要な役割を担っています。
このポリシーは、異なる発信源間でのアクセスや操作を制限し、ウェブサイトとその利用者を保護するための基本的なセキュリティ機能です。
本記事では、SOPの仕組みやその応用例、また制限を緩和する方法について詳しく説明します。
SOPとは?概要と基本概念
**SOP(Same-Origin Policy)**とは、ウェブブラウザによるセキュリティポリシーの一つで、異なるオリジン間でのリソース共有や操作を制限するものです。
この仕組みにより、クロスサイトスクリプティング(XSS)やその他の攻撃からウェブサイトを守ることができます。
オリジンの定義
「オリジン」は、リソースが発信される元を識別するための概念です。
URIスキーム(プロトコルの種類)、ホスト名(FQDN: 完全修飾ドメイン名)、およびポート番号の組み合わせによって定義されます。
例えば、http://www.example.com:80/
というURIの場合、次のように分類されます。
- URIスキーム:
http
- ホスト名:
www.example.com
- ポート番号:
80
これらの要素のうち、どれか一つでも異なれば別のオリジンと見なされます。
たとえば、http
とhttps
の違いや、www.example.com
とexample.com
の違い、ポート80
と443
の違いも異なるオリジンとして扱われます。
SOPによる制限の具体例
SOPは、以下のような場面で適用されます。
- XMLHttpRequest: 異なるオリジンへのリクエストは原則として制限されるため、悪意のあるスクリプトが他のサイトからデータを無断で取得することを防ぎます。
- iframeやJavaScriptの
window
オブジェクトを介したアクセス制限:別オリジンのページ操作を制御し、クロスサイト攻撃を防止します。 - Canvas描画制限: 他オリジンから取得した画像を使用した描画に制約をかけ、不正なデータの漏洩を防ぎます。
SOPの例外とCORSの役割
一部のケースでは、SOPの制約を緩和するための仕組みが用意されています。
たとえば、画像の埋め込みや外部のCSS参照などはほとんど制約を受けずに利用できます。
また、**CORS(Cross-Origin Resource Sharing)**を使用することで、HTTPヘッダーを通じてアクセス許可を与えることができます。
これにより、特定のオリジン間でリソース共有ができるようになります。
まとめ
**SOP(Same-Origin Policy)**は、ウェブアプリケーションの安全性を高めるための基本的なポリシーです。
このポリシーにより、異なるオリジン間での不正なアクセスや操作を制限し、サイトとそのユーザーを保護します。
加えて、CORSを使用すれば、サイト管理者は必要に応じて制限を柔軟に調整できます。
ウェブセキュリティを理解し、適切に対処することで、より安全なインターネット体験を実現することができます。