SPI(Serial Peripheral Interface)は、コンピュータや電子機器内部でのデータ伝送における重要なインターフェース規格です。
本記事では、SPIの基本的な概念、構成、利点、利用例について詳しく解説します。
SPIの理解は、電子機器の設計や開発において不可欠です。
SPIの基本概念
1. SPIの定義
SPIとは、ICチップや周辺機器を接続するためのシリアル通信方式の一つです。
シンプルな構成を持つため、電子基板内部の通信に多く利用されています。
SPIは複数の装置が一つの伝送路を共有するバス型の接続方式です。
2. SPIの通信方式
SPIは、マスター/スレーブ方式で運用されます。
この方式では、制御する側(マスター)と被制御の側(スレーブ)の役割が明確に分かれています。
通信には以下の4本の信号線を使用します:
- SCK(Serial Clock):クロック信号
- MOSI(Master Out Slave In):マスターからスレーブへのデータ送信
- MISO(Master In Slave Out):スレーブからマスターへのデータ送信
- SS(Slave Select):スレーブを選択するための信号
スレーブが一台の場合は、SSを省略して3本での通信も可能です。
SPIの利点
1. 高速通信
SPIはクロック信号で同期して動作するため、非同期型のシリアル通信に比べて通信速度が速くなります。
これにより、データ転送の効率が大幅に向上します。
2. シンプルな回路設計
SPIは、パラレル通信インターフェースと比べると、必要な回路や端子が少なくて済みます。
このため、低コストでの実装が可能です。
3. 汎用性
SPIは、I2Cと並んで、電子基板内部のチップ間通信に広く利用されています。
特に、速度がそれほど必要ない用途に適しています。
SPIの歴史と標準化
1. 開発と普及
SPIは1980年代半ばに米モトローラ社によって開発され、その後広く普及しました。
正式な標準化機関による規格は存在しませんが、モトローラ社が作成した「Application Note AN991」が基本的な仕様として参照されています。
2. 現在の状況
モトローラ社の半導体部門は、後にフリースケール・セミコンダクター社として独立し、現在はNXPセミコンダクター社がSPIの仕様を管理しています。
利用例
1. センサーとマイクロコントローラの接続
SPIは、温度センサーや圧力センサーなどのデバイスとマイクロコントローラ間の通信に広く利用されます。
高速なデータ転送が要求される場合に特に効果的です。
2. 外部デバイスとのインターフェース
SPIは、SDカード、LCDディスプレイ、DAC(デジタルアナログコンバータ)など、さまざまな外部デバイスとのインターフェースとしても利用されています。
まとめ
SPI(シリアルペリフェラルインターフェース)は、電子機器間のデータ通信において非常に重要な役割を果たしています。
高速通信、シンプルな回路設計、汎用性が魅力であり、多くのデバイスで利用されています。
今後も、電子機器の進化とともにSPIの利用は増えていくことでしょう。
理解を深め、効果的なデザインを行うために、SPIの知識は必須です。
さらに参考してください。