オブジェクト指向データベース(Object-Oriented Database、OODB)は、データとその操作手順を「オブジェクト」として統合し、データベース内で効率的に管理するための構造です。
本記事では、オブジェクト指向データベースの基本概念、利点、そして主要なオブジェクト指向データベース管理システム(OODBMS)について詳しく解説します。
オブジェクト指向データベース(OODB)とは?
基本概念
オブジェクト指向データベース(OODB)は、データを「オブジェクト」としてまとめて管理するデータベースの構造です。
各オブジェクトは、データとそのデータに対する操作(メソッド)を一体化したもので、プログラムから直接操作することができます。
これにより、データの形式変換や対応付け(O/Rマッピング)が不要になり、データ構造の変更にも柔軟に対応できるのが特徴です。
オブジェクト指向データベースのメリット
- データの一貫性:オブジェクト指向プログラミング言語で定義されたオブジェクトとそのデータが、データベース内でも同じ形で保持されるため、データの整合性が保たれます。
- 柔軟性:データ構造がアプリケーションの設計に密接に結びついており、データの変更が容易です。
- 高速なデータ処理:複雑なデータ構造を扱うシステムでのデータ処理が高速です。
オブジェクト指向データベースの適用例
複雑なデータ構造の管理
オブジェクト指向データベースは、複数のデータ形式が混在するデータや、密接に結びついたデータ構造を効率的に管理できます。
例えば、CADシステムやマルチメディアデータベースなど、複雑なデータ構造を扱う用途に適しています。
特定のプログラミング言語との連携
オブジェクト指向データベースは、特定のプログラミング言語と強く結びついていることが多く、他の言語や環境からの利用が難しい場合があります。
したがって、特定のアプリケーションで使用する場合に向いています。
主要なオブジェクト指向データベース管理システム(OODBMS)
代表的な製品
- Objectivity/DB:米国のオブジェクティビティ社が提供するOODBMSで、高いパフォーマンスとスケーラビリティを持つ。
- Caché:米国のインターシステムズ社が提供するOODBMSで、広範な機能とSQLサポートを特徴とする。
オブジェクトリレーショナルデータベース(ORDB)
オブジェクト指向データベースの機能に加え、SQLを利用するリレーショナルデータベースの特徴を持つデータベースが「オブジェクトリレーショナルデータベース」(ORDB)です。
これを管理するシステムは「オブジェクトリレーショナルデータベース管理システム」(ORDBMS)と呼ばれます。
まとめ
オブジェクト指向データベース(OODB)は、データとその操作手順をオブジェクトとして統合することで、データベースの管理を効率化します。
オブジェクト指向データベース管理システム(OODBMS)には、Objectivity/DBやCachéなどの代表的な製品があり、特定のプログラミング言語と強く結びついています。
また、オブジェクトリレーショナルデータベース(ORDB)は、OODBの機能とリレーショナルデータベースの特性を併せ持つシステムです。
オブジェクト指向データベースの理解と適切な利用により、複雑なデータ構造の管理と効率的なデータ処理が実現できます。