スニッフィング(sniffing)は、現代のネットワークセキュリティにおいて見逃せない重大な脅威の一つです。
本記事では、スニッフィングの基本概念から仕組み、実際に使われるツールやそのリスク、そして企業やエンジニアが取るべき対策について詳しく解説します。
IT業界で働くすべての人にとって知っておくべき重要な知識となります。
スニッフィングとは何か?
ネットワーク盗聴の定義
スニッフィング(sniffing)とは、ネットワーク上を流れるパケットを傍受し、その中身を解析する行為です。
暗号化されていない通信では、ユーザー名やパスワード、個人情報、メールの内容などを第三者が本人に気づかれずに盗み見ることが可能です。
スニッフィングの種類
- パッシブスニッフィング:通信内容を改変せず、ただ傍受して読み取る手法。
検知が困難。
-
アクティブスニッフィング:ARPスプーフィングなどを使い、ネットワークの通信を意図的に操作して盗聴。
スニッフィングの仕組み
有線LAN(Ethernet)のケース
イーサネットでは、リピータハブを使うとネットワーク内のすべてのデータが各端末に再送されます。
通常は不要なパケットを破棄しますが、パケットキャプチャツール(例:Wireshark)を使えば、他人宛てのパケットも取得・解析可能です。
使用されるツールの例
-
Wireshark
-
tcpdump
-
Ettercap
これらのツールは本来、ネットワーク障害の診断やトラブルシュートに使われますが、悪用されると個人情報の流出に繋がります。
無線LAN(Wi-Fi)の脆弱性
無線LANは、電波が建物外まで漏れるため、物理的にネットワーク機器に接続せずとも通信を傍受することが可能です。
WEPなどの古い暗号化方式では特に危険で、専門的なツールを使えば数分で解読可能なケースもあります。
スニッフィングのリスクと影響
被害の具体例
-
SNSやWebサービスのセッションハイジャック
-
オンラインバンキング情報の盗難
-
社内情報や取引先との通信の漏洩
実際に起きたスニッフィング事件
2000年代初頭、カフェの公衆Wi-Fiで盗聴され、ユーザーのメールアカウントが乗っ取られた事件が発生。
多くの企業が公衆Wi-Fi利用のガイドラインを見直すきっかけとなりました。
スニッフィングへの対策
技術的対策
-
暗号化の徹底:HTTPS、TLS、VPNの活用
-
パケットフィルタリングとファイアウォールの設定強化
-
セグメントごとのネットワーク分離
運用上の工夫
-
不審なネットワーク挙動のログ監視
-
ユーザー教育による情報リテラシー向上
-
定期的なセキュリティ監査
まとめ
スニッフィングは、ネットワーク上の通信を盗聴・解析する行為であり、特に暗号化されていないデータは非常に危険にさらされます。
悪意ある攻撃者は合法的なツールを悪用し、企業や個人の機密情報を盗み出す可能性があります。
したがって、暗号化の徹底やセキュリティ対策の実施は不可欠です。
ネットワークに関わるすべてのITエンジニアは、この脅威を正しく理解し、未然に防ぐ努力を続ける必要があります。