**トラッシング(Trashing)**は、IT分野における情報漏洩手法の一つです。
廃棄物として捨てられた書類や記憶メディアから機密情報を回収して悪用するこの手法は、一般的に「ゴミあさり」として知られています。
本記事では、トラッシングがどのように行われ、どのような情報がターゲットになりやすいのか、またその対策方法について詳しく解説します。
トラッシングとは?
トラッシングの定義
トラッシングとは、廃棄された書類や記録媒体から情報を収集する行為です。
ITのセキュリティ分野においては、物理的にゴミをあさり、ターゲットとなる人物や組織の機密情報や個人情報を探り出す手法を指します。
この行為は、社会工学的な攻撃手法の一つとして利用されることがあります。
例えば、家庭やオフィスで捨てられた不要な書類やメモ、光学ディスク、ハードディスクなどがターゲットになります。
トラッシングの目的と対象
トラッシングの主な目的は、以下のような情報を収集することです:
- 個人情報: 家族の氏名や住所、勤務先など
- 秘密情報: パスワード、クレジットカード番号、銀行情報など
- 機密情報: 企業の内部情報や商業秘密、戦略文書など
これらの情報を収集することにより、攻撃者はソーシャルエンジニアリングを行い、ターゲットに対する攻撃を実施することができます。
トラッシングを防ぐための対策
1. 重要情報の管理
重要な情報を無駄にメモ書きやプリントアウトしないことが基本的な対策です。
機密情報が記録された紙類やディスクは、不要になった場合でも適切に破棄することが必要です。
重要な情報はデジタルで管理し、物理的な破棄を避けることが推奨されます。
2. シュレッダーの使用
書類を破棄する際には、シュレッダーを使って完全に処理することが重要です。
特に機密情報が含まれた書類は、そのままゴミ箱に捨てるのではなく、細かく裁断して処理することが必要です。
例: シュレッダーの効果
例えば、企業内で機密情報を含んだメモ書きがあった場合、そのままゴミ箱に捨てることは危険です。
シュレッダーで細かく裁断し、情報漏洩のリスクを減らしましょう。
3. 記憶メディアの完全消去
不要な記憶メディア(USBドライブ、ハードディスク、SDカードなど)は、専用のソフトウェアや装置を使用して完全に消去または破壊することが推奨されます。
データが削除されていても、復元ソフトウェアを使えば復元される可能性があるため、不可逆的な破壊が必要です。
例: ハードディスクの破壊
ハードディスクを物理的に破壊する方法は、データ復元ができないようにするための有効な手段です。
ディスクを強く叩いたり、破壊装置を使ってデータを完全に消去しましょう。
4. 信頼できる廃棄業者の利用
ゴミを公開スペースに放置せず、信頼できる廃棄業者に直接引き渡すことが大切です。
企業や家庭で不要になった情報が含まれる物は、適切に管理された業者に引き渡して処理してもらうことで、情報漏洩のリスクを減らせます。
トラッシングとセキュリティの重要性
トラッシングの影響
トラッシングは、単にゴミをあさるだけの行為に見えるかもしれませんが、その背後には重大なセキュリティリスクがあります。
攻撃者が適切な情報を手に入れれば、不正アクセスや詐欺、企業スパイなどのリスクが増大します。
例: トラッシングによる情報漏洩
過去には、企業が不要な書類や記憶メディアを不適切に処理し、その結果として顧客情報や契約内容が漏洩する事件が発生しています。
適切な処理を行わないと、大きな損害を被る可能性があります。
ソーシャルエンジニアリングの一環としてのトラッシング
トラッシングは、ソーシャルエンジニアリングの一環として利用されることが多く、物理的なゴミをあさることで、ユーザーの個人情報や機密情報を集める手法です。
このため、物理的なセキュリティ対策も非常に重要です。
まとめ
トラッシングは、攻撃者が情報を収集するために利用する手法で、個人情報や企業秘密の漏洩につながるリスクがあります。
このような情報漏洩を防ぐためには、書類や記憶メディアの適切な破棄、シュレッダーの使用、データの完全消去、信頼できる廃棄業者への引き渡しが重要です。
企業や個人は、このようなセキュリティ対策を講じることで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。