ネットワークインテグレーションとは?企業ITインフラの要「NI」の全貌を解説!

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現代のビジネスにおいて、ネットワークインフラはもはや企業活動の生命線とも言える存在です。

そのネットワークの設計から構築、運用、保守までを一括して請け負うのがネットワークインテグレーション(NI)の役割です。

本記事では、ネットワークインテグレーションとは何か、その実務内容、関連する事業者(NIer)について、IT専門的な視点で詳しく解説します。

企業のシステム構築に関わる方や、ITインフラの最適化を目指す担当者にとって、不可欠な知識となるでしょう。

ネットワークインテグレーション(NI)とは?

ネットワークインテグレーションの定義と役割

ネットワークインテグレーション(Network Integration)とは、企業や自治体などの通信ネットワークに関する下記の工程をトータルで提供する業務です:

  • ネットワーク設計(物理・論理構成の策定)

  • 通信機器(ルーター、スイッチ、ファイアウォールなど)の選定と設定

  • 配線・構内設備の工事

  • WAN/LAN構成の構築

  • インターネット回線やVPNの手配・接続

  • 運用監視・保守・障害対応

このように、ネットワークインフラ全体を統合的に設計・構築・管理することがNIの主な目的です。

実例:中堅企業の拠点間VPN導入

例えば、全国に支社を持つ中堅企業が拠点間VPNを導入する際、NIは以下のような作業を担当します:

  • VPN要件に応じたセキュアなネットワーク設計

  • 各拠点へのルーター・VPN装置の設定と展開

  • セキュリティポリシーの反映と監視システムの導入

  • 障害時のリモート対応体制の構築

このように、導入から運用まで一貫してサービスを提供するのがNIの強みです。

ネットワークインテグレータ(NIer)の役割

NIerとは何か?

ネットワークインテグレータ(NIer:Network Integrator)とは、前述のNI業務を専門に請け負う企業や事業者を指します。

従来は専業のNIerが中心でしたが、近年では以下のように業界構造が変化しています:

  • SIer(System Integrator)がNI業務も包括的に対応

  • NIerがシステム開発などのSI業務を兼ねるケースの増加

  • 両者の境界が曖昧になりつつある

主なNIerの分類

大手電機・ITメーカー系

NEC、富士通、日立など、グループ内にSI子会社・NI子会社を持つ体制を構築し、ワンストップでサービスを提供。

専門商社・通信設備業者

ネットワーク機器の輸入・販売を基盤とする商社が、構築や運用も手がけるNIerへと進化

ISP・通信事業者

インターネット接続を主軸とする企業が、企業向けネットワークの構築・保守も事業化

NIerの提供サービスの特徴

  • マルチベンダー対応(Cisco、Juniper、Fortinetなど)

  • セキュリティ対策との連携(UTM、IDS/IPSの導入)

  • クラウドとのハイブリッド構成(AWS、Azureとの連携)

  • SLA(サービスレベル契約)による品質保証

ネットワークインテグレーションが企業にもたらす価値

ITインフラの信頼性向上

ネットワークのトラブルやセキュリティ事故は、業務の停止や情報漏洩という重大なリスクを引き起こします。

NIにより、設計段階から高可用性・セキュリティを意識したインフラが構築され、安定した運用が実現します。

IT人材不足への対応

多くの企業が直面している社内IT人材の不足に対して、NIerが専門知識と経験をもって補完することで、業務の効率化と最適化が期待できます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)支援

クラウド活用、テレワーク導入、ゼロトラストセキュリティなど、企業のDX推進に不可欠なネットワーク基盤を整備するうえで、NIの果たす役割はますます重要になっています。

まとめ

ネットワークインテグレーション(NI)は、企業の通信インフラを安全かつ効率的に構築・運用するための重要な取り組みです。

信頼性の高いIT基盤を実現するためには、NIerの選定と導入計画が極めて重要です。

近年は、SIとNIの融合が進み、単なる機器導入だけではなく、クラウドやセキュリティとの連携も視野に入れたトータルなネットワークソリューションが求められています。

これからのITインフラ整備を考える上で、ネットワークインテグレーションの知識は不可欠です。

さらに参考してください:

ネットワークインターフェースとは?仕組みと種類を徹底解説

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