インターネットや企業ネットワークの“中枢”を支えるバックボーンネットワーク。
近年のデジタル化、クラウド活用、テレワークの普及により、その重要性はさらに高まっています。
この記事では、バックボーンネットワーク(基幹通信網)の定義から役割、構成要素、そして実際のITインフラにおける活用事例まで、詳しく解説します。
ネットワーク設計やITインフラ構築に関わるエンジニア必見の内容です。
バックボーンネットワークとは?
バックボーンの基本的な定義
バックボーン(Backbone)ネットワークとは、ネットワーク全体の中で大量の通信データを高速かつ安定的に転送する大容量・高信頼性の通信回線網のことです。
「backbone」という英単語が「背骨」を意味するように、ネットワークの“中枢”を担っています。
バックボーンネットワークの特徴
-
高い帯域幅(スループット)
大量のデータ通信を処理するため、数十Gbps〜Tbpsレベルの回線が使用されます。 -
冗長構成による高可用性
回線障害時のダウンタイムを最小限にするため、ルーティングの冗長化や複数ルートの確保が一般的です。 -
集線装置・通信機器間の接続に特化
一般的なPCやスマートフォンなどの末端機器とは直接接続しない構成となっています。
バックボーンネットワークの具体的な利用例と構成
1. 企業内ネットワークにおけるバックボーン
中〜大規模企業のLANでは、各フロアや建物を結ぶコアスイッチを中心にバックボーンが構成されます。
たとえば、10GbE(10ギガビット・イーサネット)や25GbEの光ファイバで接続することで、部署間の高速通信を実現します。
実例:
-
各部署のアクセススイッチ → 中央のコアスイッチ → 外部ネットワークへのゲートウェイ
2. ISP(インターネットサービスプロバイダ)間のバックボーン
国内外のインターネットサービスプロバイダ同士を接続する際には、IX(インターネットエクスチェンジ)を通じてバックボーンが形成されます。
これにより、大規模なデータ通信(動画ストリーミング、クラウドサービスなど)のルーティングが可能になります。
実例:
-
日本から米国への通信:大陸間海底ケーブルを通じた国際バックボーン
3. モバイルネットワークにおけるバックボーン
携帯電話基地局同士、あるいは基地局から交換局・データセンターへの接続にもモバイルバックボーンが用いられます。
5G以降ではこの部分の高速化と低遅延が特に重要視されています。
バックボーンと他ネットワークの違い
バックボーンはそれ単体では完結せず、アクセスネットワークやネットワークエッジと連携することで、エンドユーザーへのサービス提供が成立します。
バックボーンネットワーク設計のポイント
-
トポロジー選定(メッシュ/リング/スター)
-
伝送路の選択(光ファイバー vs メタルケーブル)
-
QoS(Quality of Service)対策
-
BGP/OSPFなどの動的ルーティングプロトコルの設定
これらは、大規模ネットワークの設計・保守を担当するネットワークエンジニアにとって不可欠な知識です。
まとめ
バックボーンネットワークは、現代の情報通信社会における「基幹」を成す重要な構成要素です。
企業内の通信からインターネット全体まで、その規模と応用範囲は非常に広く、ネットワークインフラの性能と信頼性を左右する存在です。
この記事で取り上げた内容:
-
バックボーンネットワークの定義と特徴
-
主な利用事例(企業、ISP、モバイル)
-
他ネットワークとの関係と違い
-
設計時の重要ポイント
ネットワークの安定性や拡張性を高めたいと考えるIT担当者やインフラエンジニアにとって、バックボーンの知識は不可欠です。
今後のネットワーク設計・最適化に役立ててください。
さらに参考してください:
バックホールとは?5G・Wi-Fi時代の通信インフラを支える中継ネットワークの全貌