共通鍵暗号(common key cryptosystem)は、データの暗号化と復号に同じ鍵を使用するセキュリティ手法です。暗号化の際には送信者と受信者が共有するこの鍵が必要で、事前に安全な方法で鍵を共有することが重要です。
本記事では、共通鍵暗号の基本概念、代表的なアルゴリズム、そして公開鍵暗号との違いについて詳しく解説します。
共通鍵暗号の基本概念
共通鍵暗号とは?
共通鍵暗号は、暗号化と復号の両方に同じ鍵を使用する方式です。
具体的には、平文(暗号化前のデータ)と単一の暗号鍵を用いて特定の計算手順により暗号文(暗号化されたデータ)を生成します。
復号時には、暗号化に用いたのと同じ鍵を使用して逆の操作を行い、元の平文に戻します。
この手法は、鍵が同一であるため、暗号化と復号のプロセスがシンプルで効率的です。
現代の共通鍵暗号
現代の共通鍵暗号では、数十から数百ビット程度のランダムな鍵が使用されます。
これにより、長さが異なる平文を計算機で暗号化する方法が採用されています。
アルゴリズムは公開されており、その安全性は鍵の長さや推測の難しさによって保証されます。
共通鍵暗号の種類とその特徴
ブロック暗号(Block Cipher)
ブロック暗号は、データを一定の長さのブロックに分割し、それぞれのブロックを個別に暗号化する方式です。
代表的な例として、**DES(Data Encryption Standard)やAES(Advanced Encryption Standard)**があります。AESはDESの後継として広く使用されており、より強力なセキュリティを提供します。
ストリーム暗号(Stream Cipher)
ストリーム暗号は、データを1ビットまたは1バイト単位で暗号化する方式です。
代表的なストリーム暗号には、RC4(ARCFOUR)があり、特に高速な暗号化が求められるシステムで利用されています。
共通鍵暗号の利点と課題
利点
1.高速な処理: 共通鍵暗号は計算負荷が比較的軽いため、データの暗号化と復号が迅速に行えます。
2.シンプルな設計: 暗号化と復号に同じ鍵を使用するため、アルゴリズムが比較的単純です。
課題
1.鍵の管理: 共通鍵を安全に送信者と受信者間で共有する必要があります。
これには安全な通信経路が必要です。
2.スケーラビリティの問題: 多数のユーザー間で暗号を利用する場合、全員に同じ鍵を配布するリスクが高まります。
また、個別の鍵管理が複雑になります。
公開鍵暗号との違い
公開鍵暗号(Public Key Encryption)
公開鍵暗号は、二つの異なる鍵を使用する方式で、一方を「公開鍵」として広く公開し、もう一方を「秘密鍵」として保持します。
公開鍵で暗号化し、秘密鍵で復号する仕組みです。
公開鍵暗号は、鍵の配布の問題を解決しますが、処理速度は共通鍵暗号に比べて遅いです。
ハイブリッド暗号
現代のセキュリティシステムでは、共通鍵暗号と公開鍵暗号を組み合わせたハイブリッド暗号が広く利用されています。
公開鍵暗号で安全に共通鍵を交換し、データの本体は共通鍵暗号で暗号化する方法です。
このアプローチは、SSL/TLSなどのプロトコルで使用されています。
まとめ
共通鍵暗号は、暗号化と復号に同じ鍵を使用するシンプルかつ効率的な暗号方式です。
データの保護やセキュリティを確保するために重要な役割を果たしますが、鍵の管理やスケーラビリティには課題があります。
公開鍵暗号との組み合わせにより、これらの課題を克服し、安全で効率的な暗号化が実現されています。
さらに参考してください。