可用性(availability)は、システムが常に使用可能な状態を維持する能力を指します。
本記事では、可用性の定義、重要性、関連する概念や具体的な実装方法について詳しく解説します。
ITシステムにおける可用性の重要性を理解し、どのようにして高めることができるのかを探ります。
可用性の定義
概要
可用性とは、システムやサービスが必要なときに使用できる状態がどれだけ維持されているかを示す指標です。
具体的には、実際に使用可能な時間の割合を稼働率で表します。
例えば、24時間365日稼働が求められるシステムで稼働率が99.9999%の場合、年間で約31.5秒の使用不能な時間が発生します。
稼働率の計算
高可用性(HA)の実現
概念
重要な業務システムでは、システムの停止や中断を避けるために、高可用性(High Availability、HA)を実現することが求められます。
これは、装置の二重化や複数のコンピュータによるクラスタリングなどの技術を用いることで、万が一の故障時にもサービスが継続される状態を指します。
実装方法
- 二重化: システムの重要なコンポーネントを二重化し、一方が故障しても他方が機能するようにします。
- クラスタリング: 複数のサーバーをクラスタとして構成し、負荷分散やフェイルオーバーを実現します。
- 定期メンテナンス: システムの可用性を高めるために、計画的なメンテナンスを実施し、問題を未然に防ぎます。
可用性と信頼性の違い
信頼性の定義
信頼性(reliability)は、システムや機器が故障しにくい特性を指し、故障率や平均故障間隔(MTBF)で表されます。
信頼性が高いと、システムの稼働時間が長くなります。
可用性と信頼性の関係
可用性と信頼性は関連していますが、必ずしも一致するわけではありません。
例えば、システムの一部が故障しても、他の部分が正常に機能すれば高い可用性を保つことができます。
このように、可用性を確保するためには、低い信頼性を持つコンポーネントを組み合わせてシステム全体の可用性を向上させる戦略も重要です。
RASとRASISの概念
RAS
情報システムに求められる特性を表すために、「RAS」という頭文字を取った概念があります。
これは、信頼性(Reliability)、可用性(Availability)、保守性(Serviceability)の3つの特性を指します。
RASIS
さらに、完全性(Integrity)と機密性(Security)を追加したRASISの概念も広く用いられています。
これにより、システムの全体的な品質を評価するための指標が提供されます。
まとめ
可用性は、システムがどれだけ使用可能な状態を維持するかを示す重要な指標です。
高可用性を実現するためには、二重化やクラスタリングなどの技術が不可欠です。
また、可用性は信頼性と密接に関連しており、システムの全体的な品質を評価するためには、RASやRASISといった概念も考慮する必要があります。
ITシステムにおける可用性を理解し、適切な対策を講じることで、より高いサービスの提供が可能となります。
さらに参考してください。