バス(bus) は、コンピュータや電子機器においてデータ伝送の基盤となる重要な構造です。
システムのパフォーマンスや拡張性にも深く関わる要素であり、CPU、メモリ、周辺機器を接続するために欠かせない通信経路です。
本記事では、バスの種類や仕組み、現代的な技術への応用についてわかりやすく解説します。
バスとは何か?
コンピュータにおけるバスの基本概念
バス(bus) とは、複数の機器や回路が共通で利用する信号線(通信路)のことを指し、データやアドレス、制御信号をやり取りするための基盤です。
これにより、CPU、メモリ、ストレージ、入出力デバイスなどの間で効率的に通信が行われます。
一台のコンピュータの中には、複数の種類のバスが存在し、それぞれが異なる役割を担っています。
バスの種類とその機能
内部バス(Internal Bus)
内部バス は、CPU内部で各回路やモジュール間のデータを転送するためのバスです。
レジスタ間の演算結果の受け渡しなど、CPUの動作に直結する高速な通信が求められます。
外部バス(External Bus)
外部バス は、CPUと主記憶装置(RAM)やチップセット間で通信を行う際に利用されます。
バス幅や転送速度が処理性能に直結するため、近年では高帯域かつ低レイテンシなバスが採用されています。
拡張バス(Extension Bus)
拡張カード(例:GPU、サウンドカード)や周辺機器を接続するためのバスです。
PCI Express(PCIe)はその代表例であり、高速なデータ転送が可能な現代の主流拡張バスとなっています。
バスの構成要素
データバス(Data Bus)
実際のデータそのものを転送します。
バス幅(例:32ビット、64ビット)が広いほど、一度に転送できるデータ量が増加します。
アドレスバス(Address Bus)
どのメモリアドレスにデータを送るのかを指定する信号線です。
アドレスバスのビット数によって、アクセス可能なメモリ容量が決まります。
コントロールバス(Control Bus)
データ転送のタイミングや動作の指示を伝える信号を担当します。
例:読み取り/書き込み命令、割り込み信号など。
パラレルバスとシリアルバスの違い
パラレルバス(Parallel Bus)
複数の信号線を並行して使用し、一度に複数ビットのデータを伝送します。
古くはIDE(ATA)やSCSIなどが代表例です。しかし、信号線の同期が難しく、長距離通信には不向きです。
シリアルバス(Serial Bus)
一本または少数の信号線を使用して高周波で1ビットずつ順番にデータを送信します。
USB、SATA、PCIe、Thunderboltなどが該当し、現在の主流方式となっています。
IT分野におけるバスの応用例
サーバー構成におけるバス設計
高性能サーバーでは、CPUとRAM、ストレージの接続バスがボトルネックになることが多いため、システムアーキテクトはバスの帯域やレイテンシを重視します。
特に、PCIe Gen4/5のような高速バスの選定がシステム全体のスループットに影響します。
組込みシステムでの最適化
マイクロコントローラ(MCU)では、内部バス構造の設計がリアルタイム性能や省電力性に大きく影響します。ARMベースのSoCでは、バスの階層構造やDMAアクセスが重要な要素となります。
OS開発・デバイスドライバとの関係
デバイスドライバは、バスを通じて周辺機器と通信する役割を担います。
ドライバの開発時には、バスの仕様に応じたアドレス指定やタイミング制御が不可欠です。
まとめ
バス(bus) は、コンピュータシステムの中核を担うデータ通信のインフラです。
内部処理から外部機器接続、システム全体のパフォーマンスにまで影響するため、その構造や仕組みを理解することはITエンジニアにとって極めて重要です。
パラレルからシリアルへの技術進化や、現代のアーキテクチャとの関係も含めて、今後ますます注目される技術領域です。