レイテンシ(latency)とは、データを送信した際に、実際にデータが届くまでの待機時間を指します。
これは、通信において非常に重要な要素であり、特にオンラインゲームやリアルタイムアプリケーションではその影響が顕著に現れます。
本記事では、レイテンシの基本概念、測定方法、スループットとの違い、そして実生活への影響について詳しく解説します。
レイテンシの基本概念
レイテンシの定義
レイテンシは、データ伝送要求から、データが実際に届くまでの待ち時間を示すもので、単位は秒、ミリ秒、マイクロ秒、ナノ秒などがあります。
狭義には、二者間でのデータのやり取りにおいて、片方が信号を送り始めてから、もう一方に届くまでの時間を指します。
この時間は、通信路を通過する信号が到達するのにかかる時間を含みます。
往復レイテンシとRTT
レイテンシの一つの指標として「往復レイテンシ」または「ラウンドトリップタイム(RTT)」があります。
これは、要求の送信から応答が戻るまでの全体的な待機時間を指し、次のように計算されます:
RTT=片道レイテンシ+処理時間+片道レイテンシ\text{RTT} = \text{片道レイテンシ} + \text{処理時間} + \text{片道レイテンシ}
このように、RTTは通信における全体的な待機時間を示すため、特に双方向通信でのパフォーマンス評価において重要な指標となります。
スループットとの違い
スループットの定義
スループット(throughput)は、単位時間あたりに処理できるデータの量を示す指標であり、例えば1Gbpsのスループットを持つ通信回線は、1秒間に1ギガビットのデータを伝送できます。
スループットは通信の効率を測るための重要な要素ですが、レイテンシとは異なる視点から評価されます。
スループットとレイテンシの関係
スループットが高ければ、短時間で多くのデータを伝送できますが、各伝送には必ずレイテンシが伴います。
スループットとレイテンシはそれぞれ独立した特性を持ち、一方が優れていても他方が必ずしも良好であるとは限りません。
実生活への影響
一方向的用途と双方向的用途
放送や配信などの一方向的な用途では、スループットが主に品質を決定します。
一方で、オンラインゲームやビデオ通話など、ユーザーのアクションに応じて短い伝送や処理を繰り返す双方向的な用途では、レイテンシが全体の性能や使用感に大きく影響します。
具体例
例えば、地上約36,000kmの静止衛星を介して通信を行う場合、地上-衛星-地上間の信号の往復に約0.5秒のレイテンシが必要です。
この場合、音声通話や対戦ゲームでは、相手の行動が反映されるまでの遅延がストレスの原因となり、快適な体験を損なうことがあります。
まとめ
レイテンシは、通信における待ち時間を示し、特にリアルタイムアプリケーションではその影響が顕著です。
レイテンシとスループットはそれぞれ独立した特性を持ち、用途によって重要性が異なります。
特に双方向的な通信では、レイテンシがパフォーマンスや使用感に直結するため、その理解と管理が重要です。
これを踏まえた上で、適切な通信環境を整えることが、快適なデジタル体験を実現するための鍵となります。